「朝起きられない自分はダメ」じゃない!遺伝子によって決まる朝型と夜型
「早寝早起」「早起きは三文の徳」「朝活」とよく言われますが、どうしても朝は苦手、という方も多いのではないでしょうか?
わたしは一日の中でいちばん体の調子が悪い時間帯が朝です。朝ごはんなど食べられる状態ではなく、バナナやみかん、トマトひとかけぐらいしか口にできません。
旅行先でせっかく無料の朝食が付いているホテルも8時半や9時までの朝食の時間に間に合わなかったり、10時のチェックアウトもヒヤヒヤするので、チェックアウト時間の遅いホテルを選ぶようにしたりしています。無理なものは仕方がないと思いつつ、「朝活」という言葉に羨望と劣等感を抱き、それにフィットしない自分がおかしいんだ。何かしらの矯正が必要なんだと思ってきました。
しかし、最近では「朝方」や「夜型」は遺伝子によって決まることが明らかにされています。
「概日リズム」ともいわれる人間の体内時計のサイクルですが、イギリスの研究グループが『Nature Communications』に発表した内容によると、そのサイクルは351個ある「時計遺伝子」の数によって「朝方」か「夜型」かが決まるという結果が出ています。さらに、朝型と夜型では光の量を検知するメカニズムも異なるそうです。
朝方、夜型、中間型など、体内時計のタイプ(クロノタイプ)がわかる質問紙(Munich ChronoType Questionnaire: MCTQ)
https://www.sleepmed.jp/q/meq/meq_form.php
また、年齢によってもそのリズムは移行するといわれており、子供は「朝型」→思春期から30歳ぐらいまでは「夜型」→それ以降は「朝型」へと戻っていくそうです。
社会的な活動が「時間」によって管理されはじめたのは産業革命以降です。特に労働に「効率」と「生産性」が重視されはじめた19世紀当初は大人も子供も昼夜問わず12時間以上の労働で、労働時間の見直しが繰り返し行われてきた結果、現在の8時間労働につながっています。ですが朝の9時から夕方の18時を中心にした現代のライフスタイルは朝型に有利で、強制的に朝型に合わせた生活を余儀なくされている夜型の人は常に時差ぼけ状態にあるといわれています。
さらに、夜型の人が無理に早起きをすることで健康を損なう恐れさえあるともいれています。
これまでは朝起きられないことに対して「甘えている」「意志が弱い」「努力が足りない」などと言われてきましたが、夜型に対する偏見もこの研究結果によって見直されていくことになると思います。
朝中心の活動が推奨されがちな現代においてフレックスタイムなども徐々に取り入れられつつありますが、さまざまな睡眠パターンに対応した、その人の能力が最大限発揮される勤務時間が尊重されるようになればいいですね。